音楽著作権管理の話 第5回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・5〜

インデックス

音楽著作権管理の話 第0回 〜音楽著作権管理について書くにあたり〜
音楽著作権管理の話 第1回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・1〜
音楽著作権管理の話 第2回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・2〜
音楽著作権管理の話 第3回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・3〜
音楽著作権管理の話 第4回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・4〜
音楽著作権管理の話 第5回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・5〜
音楽著作権管理の話 第6回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・6〜
音楽著作権管理の話 第7回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・最終回〜
音楽著作権管理の話 第8回 〜実際にJASRAC信託者になってみて〜
音楽著作権管理の話 第9回 〜JASRACと他著作権管理団体と実際に契約して知ったこと〜
音楽著作権管理の話 第10回 〜音楽著作権管理の考察〜


音楽著作権管理の話 第5回 〜自分の音楽著作権管理の認識歴・5〜

二つめの転機となる事件ですが、そのタイトルのみの使用という使用範囲を決めた買取(セリフと音楽が合わさっているものなので音楽のみの原盤が流失しようがないので承諾しました)と同意し受けた仕事の楽曲が50曲ほど、私の名前で発表されているのにも関わらず、別の作家名で音楽著作権管理団体に作品登録されていることがわかりました。

このとき私は買取契約とは音楽著作権の完全譲渡であるが、著作権は譲渡はできても放棄は法律上できないことを知っていたので、クライアントに著作権の放棄はできないので私の許可無しにこうなることはおかしいので調査してほしいと訴えました。
このクライアントも下請けでしたので、この事態が起こったことを全く知るよしもなく、また音楽出版社もあるところでしたので作品登録事情に詳しく、そうであれば調査して正しい名前に変更してもらわなければならないですね、というお返事がありました。

調査の末、この作品登録は音楽出版社を持つ一番上の会社が行ったもので、制作メーカー以外に使用されることを防止するために行われたこと、名前の変更は検討しますが、覚書にサインをお願いしたいという条件が出されました。

その覚書には、音楽著作権使用料をもらう権利を全て放棄してください、という内容が記述されていました。

そこで、私はそもそも今回は買取契約とはいえ完全譲渡では無く、このタイトルのみの使用範囲を決めた使用範囲限定譲渡という約束であり、それ以外の使用範囲を放棄するつもりはないです、ということを伝えました。
更にこちらを受けるにあたり、ちゃんとした業務委託契約書を作っておらず、完全譲渡の買取ということを記した契約書は存在しなかったので、契約が完全譲渡買取であったという証明もありません。
しかし、ここでも下請けの入れ子契約の法則が発動して、一番上の会社と対私では使用範囲限定の譲渡かもしれないが、対下請け会社が全てに対し完全譲渡という契約を交わしているので、その下請けにぶら下がるもの(=私)はその契約が適用されますとのことでした。

こうなってしまうと、使用範囲限定譲渡の覚書を残していなかった私にも落ち度があり、また仕事を紹介してくれた下請け会社の顔を潰したくなかったこと、また前述のようにその作品はセリフと音楽が合わさったもので音楽自体の原盤が流失することはあり得ず、あったとしても関係者にしかできないことなので誰が流失したか限定できるものであることから、使用料放棄の覚書にはサインせず、違う作曲者名で作品登録されたままにすることを選びました。

このことがあってから、自分の作品を守る手段を考えるようになりました。

一つの手段として業務委託契約書に完全譲渡の記述がない場合は、音楽著作権の扱いでお互いに同意したことを書面に残すことにしました。
お願いすると覚書を作ってくださるところもありましたが、紙で出すのは難しいというところもあり、その場合はメールにその旨同意したことを書いてもらうようにしました。

正直にいえば、音楽を作る以外のそういった業務に時間を割き心を砕くのは辛かったですが、そうしないと自分の作品を守れない状況を経験したのでそうせざるを得ませんでした。

そうしていくうちに、この適正価格でない買取(完全譲渡)を当然とし、更に音楽著作権の放棄まで薦める業界に対する不信感がどんどん大きくなりました。
いくらベルヌ条約が〜、著作権は自動的に発生し〜、著作権は放棄できないと法律で決まっていて〜なんて説明したところで、前提は買取契約ですから、先方にとっては、めんどくさいことを言われるなら他の人を使えばいい話。ある意味私は替えのきく駒認定された訳ですから、ここから抜け出さなければ自分の先は無い、と思い始めるようになりました。

ここでやっとJASRAC信託ということに、ちゃんと向き合うようになりました。

今までいくらでも向き合う機会があったのに自分に火の粉がかからないと動かないとは情けないことですが、今からでもなんとかしなくてはと思いました。

(この記事は2017年7月10日に作成されたものです。情報などはその当時までのものです。)

株式会社DIGITAL SONIC DESIGN

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